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「YELL」 [本・映画・アニメ・詩歌]

まもなく2018年が終わりを告げます。残された時間を、今年の自身の歩みを振り返っておられる方もいらっしゃるでしょうし、まだまだ年内に片付けなければならない諸事に没頭しておられる方もいらっしゃることでしょう。それでも時は確実に進み、2019年はやって来ます。大切なのは、まだ何も決まっていない未来に向ける「今」を持っていることではないでしょうか。
さて、今年最後にご紹介するのは、「いきものがたり」の2009年発表の「YELL」です。

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「私は今 どこに在るの」と 踏みしめた足跡を何度も見つめ返す
枯葉を抱き 秋めく窓辺に かじかんだ指先で夢を描いた
翼は有るのに飛べずにいるんだ 一人になるのが怖くて つらくて
優しい陽だまりに片寄せる日々を 超えて 僕ら 孤独な夢へと歩く
「さよなら」は悲しい言葉じゃない それぞれの夢へと僕らを繋ぐYELL
共に過ごした日々を胸に抱いて 飛び立つよ 一人で 次の空へ

この詩は卒業ソングとして多くの方に知られています。ただ私は、学生が社会へ、進学のために、旧友と分けれるシーンのみに使われるのは勿体無い、もう少し普遍的な意味も込められているように思い、ここで取り上げさせていただきました。
この最初の部分は、これまで慣れ親しんだ場所から離れる不安の情景描写です。そして、ここで既にこの詩の主メッセージ「さよならは悲しい言葉じゃない」と謳っています。

僕等はなぜ答えを焦って 宛の無い暗がりに自分を探すのだろう
誰かをただ想う涙も 真っ直ぐな笑顔も ここに在るのに
本当の自分を誰かの言葉で 繕うことに逃れて 迷って
ありのままの弱さと向き合う強さを つかみ 僕ら 初めて 明日へと駆ける
「さよなら」を誰かに告げる度に 僕らまた変われる 強くなれるかな
たとえ違う空へ飛び立とうとも 途絶えはしない想いよ 今も 胸に

「繕う(つくろう)」という言葉が出てきます。繕うとは、いろんな意味が有りますが、悪いこと、弱いこと、間違ったこと、それらを外から上手く隠すことでしょう。「優しい陽だまり」と感じた現在の場所でも、振り返って自分を見つめれば、そんな「繕う」姿が思い起こされます。それは旅立ちを前にすれば、不安や怖さを助長することにも繋がります。それでも、それらを振り切って飛び立つことができれば、それはもう一つ自分が強くなれる、否、もう一つ強くならなければ飛び立てない、そんなメッセージが込められていると思います。

永遠など無いと(気付いた時から) 笑い合ったあの日も(歌い合ったあの日も)
強く(深く) 胸に 刻まれていく
だからこそあなたは(だからこそ僕らは) 他の誰でもない(誰にも負けない)
声を(挙げて) わたしを生きていくよと
約束したんだ ひとり ひとつ 道を選んだ

ここでの歌詞は、主文を補完する複文が付属することで、より一層「わたし」の気持ちの強さを表しているように思われます。そして同時に、自分を支えてくれた、励ましてくれた、共に歩んだ、周りの人達への想い、そして過去の自分との別離の決意も伝わってきます。

「さよなら」は悲しい言葉じゃない それぞれの夢へと僕らを繋ぐYELL
いつかまた巡り会うその時まで 忘れはしない誇りよ 友よ
僕らが分かち合う言葉がある 心から心へ 声を繋ぐYELL
共に過ごした日々を胸に抱いて 飛び立つよ独りで次の 空へ

もうこの最後の部分は、何の解説も必要としない、この詩の主題そのままです。

人は一人では生きられない。人が生きていること、生き続けること、それは人と出会うこと。そして出会うことと同じように、人と別れることでもあります。その「人」とは、家族や友人や同僚だけではありません。自分自身もその中に含まれます。親しい人、自らか築いてきた場所、それらを失うことを悲しく思うことは自然なことです。けれど悲しんだ後に、「自分が手に入れたものを」を思い出して前を向くことが、次への第一歩になると思います。そうすれば、そこで告げる「さよなら」は、決して悲しい言葉ではないでしょう。
貴方は今年、どんな人と出会いましたか? そしてどんな人と別れてきましたか? 何度「さよなら」と言いましたか? 言われましたか?

まもなく今年も終わります。今年頑張った人も、そうでなかった人も、等しく万人が今年の自分に別れを告げます。そしてまた、等しく万人が新しい年、新しい自分を迎えます。皆様の新しい自分が、より良いものであることを祈って、今年最後の記事とさせていただきます。
ありがとうございました。




YELL(エール)


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