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楽しくて [写真・撮影]

12月2日午前8時。グランドの緑の絨毯には、うっすらと霜が覆っていた。辺りの空気は凛として澄み、天空から僅かな日差しが届く。これからこの芝の上で、彼女たちの闘志がぶつかり合うことなど、まるで感じさせない静寂。
強い日差しの陽炎に揺れた真夏とは正反対の、肌を硬直させる冷気はしかし、澄み切った空気をもたらし、私と30mほど離れた彼女たちの間に、その存在を無くしている。レンズを通して髪の毛一本まで見える。空を覆うのは薄い雲。雨の心配も無ければ、逆光に悩まされることも無い。光を利用した作画はできないけれど、その分眼前で繰り広げられる戦いに集中できる。

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試合開始のホイッスルと同時に、22名の選手たちが一斉に動き出す。時に早く、時にゆっくりと、時に激しく、時に声を出し、一つのボールを巡って動く。ゴールを目指してボールを運ぶ。そうはさせじと立ちふさがる。体と体がぶつかり合う。倒れても瞬時に起き上がり、また走る。相手の蹴ったボールを頭で跳ね返す。見方がボールを持てばパスを要求する。相手より僅かでも早くと足を延ばす。奪われてはならないと、迫る相手をブロックする。それら全てに、勝とうとする意欲を感じる。
戦っているのはピッチ上の22名だけではない。思わずベンチを飛び出して叫ぶ監督。懸命の応援の声を上げるスタンド。走り、止まり、笛を吹く主審。毅然と旗を上げる線審。試合を途切れさせないボールパーソン。それら全てが、この試合の参加者だ。そして、私も。
広いグランド上で輝いては瞬時に消え、また輝く。そんな宝石の煌めきのようなシーンを逃すまいとレンズを振る。時にファインダーから目を離して俯瞰(ふかん)し、煌めく場所を予測しては、狙いを定める。右手の人差し指は、自らの感性と直結している。理屈ではない。眩しいと思った瞬間には連写している。カメラの設定に悩むこと、工夫を必要とすることが無いこの状況では、そんな宝石探しだけに集中できる。しかもどうだ、同じシーンは一つも無く、更に今日のこの真剣勝負の場では、幾らでも輝いているではないか。まるで子供が木の実を探して野山を走り回るように、まるで子供が波打ち際で綺麗な貝殻を探し回るように、シャッターを切るのが楽しい。楽しくて楽しくて、しかたない。
サッカーを撮っていて、これこそが至福の時だと思った昨日でした。

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