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「さらば愛しきルパンよ」 [本・映画・アニメ・詩歌]

前回、宮崎駿初監督作品「ルパン三世 カリオストロの城」のことを書きましたが、調子に乗ってもう一つだけ、付け加えさせてください。それは、ルパン三世第2期TVシリーズの最終話(第155話)「さらば愛しきルパンよ」です。

さらば愛しきルパンよ1.jpg

第1期のTVシリーズが視聴率を稼げず終了し、その5年後から放送された第2期シリーズ。1977年10月から30分枠ながら約3年間も続いたのですから、きっと視聴率は悪くなかったのでしょう。そして、ルパン三世というキャラを世に根付かせた番組だったと思います。ただ、ルパン三世ファン、またはアニメファンの間では有名な話ですが、このTV2ndシリーズに不満を感じた宮崎駿が(「照樹務」名義で)、第145話「死の翼アルバトロス」とこの最終話を手がけました。タイトルの「さらば愛しきルパンよ」は、宮崎駿がルパン三世との決別のメッセージである、とか。人気が有ったからこそ視聴率優先主義のテレビ局が、約3年間にも渡って放送されたルパン三世2ndシリーズですから、どこのレンタルショップでもDVDが置いてあると思います。その最後の第26巻を、先日借りてきて見ました。この第26巻には5話収納されていますが、最初の4話と最後話では、まったくクオリティが違うことに気付くと思います。作画レベルではありません。時間的にも費用的にも限られた30分枠のTV放送ですから。決定的に違うのは、ルパンの描き方とシーン構成力。そこには、「カリオストロの城」に通じる優しさ&愛情が感じられ、商業主義のTVではそれが出来なく、子供向けアニメとして人気が出たために、一人歩きしてしまった軽薄なキャラへの、宮崎駿の決別のメッセージを読み取ることが出来ると思います。
人命をないがしろにしても金を得ようとするニセルパンが登場します。人命を軽視し、東京の繁華街で発砲する自衛隊戦車を止めようとする銭型警部が描かれます。最後に本物のルパンが登場し、一発の発泡も無く全てを解決します。ただそれだけのストーリーです。しかしそれは、今まで3年間にも渡って描かれてきた赤いジャケットのルパンは全てニセではなかったのか、最終話の最後に登場したこのルパンこそが、本物のルパン三世ではなかったのか、と宮崎駿は訴えるのです。チャラチャラと軽薄なギャグを言い、目的のためなら拳銃をバンバン打ち、主義主張もポリシーも感じられぬ、ただのギャグアニメの3流ヒーローに成り下がったように見えたルパン。それが大衆が望む姿なら、最後に(意地もあって)本当のルパンはこうなのだ、という一話を作って終わりにしよう、という氏のメッセージが込められた作品として知られている一話です。
それを端的に表しているのが、このシーン。銭型警部に扮した本物のルパンが、脅されてロボット兵ラムダを操縦させられていたヒロイン小山田真希に、低い声で真顔で言います、「何人殺した?」と。こんなシリアスなセリフ、他の回では絶対に有りえないです。
ルパン三世というキャラクターを使ったアニメは、現在でも作られています。原作はもっとハードボイルド風(TVシリーズ1stはそれに近いかな)ですが、作り手によって時代によって、そのキャラクターは変わります。でも私のルパン三世は、粋と優しさを混在した大人の泥棒で、1980年10月6日放送のこの話で止まってしまいました。
ちなみにヒロインの小山田真希の声を演じたのは、クラリスやナウシカと同じ、島本須美さんです。

さらば愛しきルパンよ2.jpg


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ゼク

僕も以前BLOGで書いたのですが、ルパンの中この話が最高で最後でした。
宮崎さんの作品なので、カリオストロのルパンとこの最終回のルパンは同じルパンだと断言できます。

ルパンをよく知る銭型警部の言葉が両作品とも印象的でストーリーの本質をあらわしています。
そう考えると、意外にも銭型はルパンそのものなのかもしれません。

さておき、ラムダの原型は「Superman Classic Cartoon - The Mechanical Monsters」という
1940年代の古いスーパーマンの中に出てくるロボットのようですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Mb8iYqIVBzQ
70年も前のこのアニメを見て宮崎監督は何か思いついたのかもしれませんね。
by ゼク (2012-06-26 23:54) 

wataru-wata

こんにちは&ご無沙汰しておりました。

ルパンは、当方が小学生の頃に日曜12時から再放送されており、それを毎週楽しみに見ておりました。

おそらく、ジュニアユース様がおっしゃっておられる”子供向けアニメ”としての魅力があり、当方のような年齢層のファンを形成したのだと思います。

まぁ、シッカリとメディアの策略にハマってしまったわけですね(笑)

ちなみに、当時の声優をされておられた山田氏が「ルパンに人を殺させるな」と制作側に唯一の注文を出されていたそうです。

鉄砲をバンバン撃つが、命を絶つような事だけはするな。そうお願いしていたそうです。
(とあるラジオでご本人からのメッセージで聞きました)

作画と言う命を入れる側からのメッセージ。そして、声と言う命を入れる側からのメッセージ。

何年も前の作品にもかかわらず、それが未だに人々の心に届いて語らせるなんて、凄いな・・・と思います。
by wataru-wata (2012-06-27 13:05) 

Cimarron

宮崎監督のルパンには「未来少年コナン」のコナン走りとかが出てきて楽しませてくれますよね、「ラピュタ」も我が家の高校生たちが日本語版で鑑賞していました。
by Cimarron (2012-06-28 07:21) 

ジュニアユース

みなさん、コメントありがとうございます。
この新カテゴリーでもコメントがいただけるなんて、嬉しい限りです。

ゼクさん、こんにちは。
銭型警部の描き方は、だいぶ違いますよね。決してダメ刑事ではない、という点と、主役のルパンとの
対比をしっかり描くことで、存在感有りますものね。
アニメとはいえ、こうして後世まで語られる作品は、やっぱり手元に残しておきたいです。

wataru-wataさん、こんにちは。
私の中では、やっぱりルパン=山田康雄さん、なんですよ、未だに。今の栗田貫一さんも、決して悪く
ないと思うのですが、どうも「軽い」。アニメは画なんですが、それに命を吹き込む声優さんは、大事ですね。

Cimarronさん、こんにちは。
実は「ラピュタ」も書こうかな、と思っていたところです。どうもCimarronさんには先回りされてしまいます(笑)。
また機会を改めて、で。

by ジュニアユース (2012-06-28 14:24)