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清く正しく美しく [本・映画・アニメ・詩歌]

今回ご紹介させていただくのは、玉置浩二氏の作詞・作曲、2011年にリリースされた「安全地帯XII」というアルバムの最後の一曲、「清く正しく美しく」です。

悲しい時は空を見て 誰も悪くないと言おう
淋しい時は海に来て もう自分を責めなくていいと言おう
うれしい時は風になり 麦を鳴らして称えよう
やさしい時はあの人に ごめんね、ありがとう、と言おう
苦しい時は山を見て もう逃げたりしないぞと言おう
虚しい時はふるさとの 大地を想い泣けばいい
何もできなくなってしまった時は 清く正しく美しく
清く正しく美しく ただ君の手を握り締めていよう


この曲は「悲しい時は」から始まります。この世を生きる我々には、本当は悲しいことも嬉しいことも平等に有る筈なのだけれど、生きる苦しみが有れば、生きる楽しみも必ず有る筈なのだけれど、良い事は束の間に過ぎていき、そうではない反対の事は、永く重しとなって留まるように思えるのは、凡人の私だけでしょうか。そうだからこそ、心が穏やかになった時には「ごめんね」「ありがとう」と素直に言おう、と綴っています。
ここから少し曲調が変わります。

ダイスの目は決まっている 初めからそれと決まっている
一つ転がすと1から6まで 終わりの無い一人旅
二つで転がせば1は無い 6と6で12になって
時計の針が0時で重なるように 君がいてくれるなら


ダイスとはサイコロのことですね。この曲の出だしフレーズとは全く関係ないようにも思えますが、サイコロを一つ転がすことを、孤独に一人で生きて行くことを表し、二つで転がすとは、二人以上で生きていくことを比喩しているものと思いました。一つをいくら転がしても、出る結果には限りがある。でも二つ転がせば、出る眼の組合せによって得られるものは数倍以上。そしていつか、6と6の目が出るようなら、それは素晴らしいことが起こるのではないか、そんな風に私には聞こえました。

清く正しく美しく.jpg

悪いものなんてない 悪いものなんてない
この世に有るものは いいものばかりに決まっている
胸を晴れ高らかに 希望の光を見たはずだ
あの日の自分を思い出せ 心の闇に立ち向かえ
誰も助けてくれない 誰もわかっちゃくれない
自分は自分でしかない
良き人たちのピンチを救えるのは
汚れた者たちの最後のチャンスなのだから
足を半歩前に出せ 必ず誰かが見てるから


「悪いものなんてない」は全肯定です。だから、今の苦しくも悲しくもあるのは、自分自身に起因するのだと唄っています。今は荒んだ自分でも、これまでずっとそうであった訳ではないでしょう。天を仰いで笑った時期も有ったはず。だから、たとえ辛苦が降り注ごうとも、笑って、泣いて、生きていくことが「清く正しく美しく」に繋がるのではないでしょうか。

もっと笑って 笑ってもっと
僕らの愛が清らかだと分かるように
もっと手を振って 手を振ってもっと
僕らの愛が正しいところに向かっていけるように
もっと涙を流して 涙を流してもっと
まだ見ぬ母のぬくもり頼りに泣きじゃくる赤子のように
いつか知らないどこかの誰かが涙をぬぐってくれるくらいに
僕らの愛が美しいと言えるように

清く正しく美しく 清く正しく美しく
君だけの 君だけの 君だけの
愛を受けとめていよう

清く正しく美しく 清く正しく美しく
君だけを 君だけを 君だけを
黙って抱きしめていよう

清く正しく美しく 清く正しく美しく
清く正しく美しく 僕らは一つになれる

清く正しく美しく 清く正しく美しく
清く正しく美しく 僕らは一つになれる
いつか一つに なれる


「安全地帯」というバンドは、1982年のメジャーデビューから紆余曲折あって今に至っています。当初は男女の切ない恋愛模様を唄ってヒットしましたから、そのイメージから見れば異質に映る曲かもしれません。この曲の歌詞に出てくる「愛」や「君」というのは、単なる恋人への愛情ではなく、もう少し広い意味が込められているように思え、このようなスケールの曲に至るには、30年の時間が必要だったのでしょう。作った玉置浩二氏にしても、いろいろゴシップ記事がありましたし、本人の精神が不安定な時期もあったようですが、今ではその歌唱力には凄みを感じさせられます。
私は特別「安全地帯」のファンだった訳ではありませんが、ふとしたことでこの曲に出会い、聞き、思わず魂が揺さぶられてしまいました。ちょうど私の苦しい時だったからなのかもしれません。「清く正しく美しく」そんな風に生きることは理想でしょう。でもそれは、社会的に成功したから成れるものでも、大金を手にすれば得られるものでもない。内なる自分への提言なのです。なので、性別や年齢、立場や環境には左右されず、全ての人に向かってのメッセージソングだと思い、ここで取り上げさせていただきました。じっくりと聞いてみてください、できれば一人で。



清く 正しく 美しく


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ブレイド [本・映画・アニメ・詩歌]

先日、書店に立ち寄った際に、入り口脇のコーナーで「特価」と書かれたDVDやブルーレイディスクが目に留まりました。どれも2~4本セットで販売されている、ちょっと前の映画ビデオです。今やレンタルビデオ店では、こうした旧作は100円にも満たない金額で借りられますから、今更DVDビデオを購入する気にはならないのですが、ブルーレイとなると興味が湧いてしまいました。ちょうどPCのドライブをブルーレイに替えたことだし。どれも表示価格から25%offとのこと。目ぼしいものはあるかな、と見てみると、コレに惹かれて買ってしまいました、3本で2700円。

ブレイド1.jpg

「ブレイド」という映画3部作は、もちろん過去に見たことがあります。アメリカンコミックを映画化した第一作が公開されたのが1999年。光の届かない所で暗躍するヴァンパイアと人間が共存している世の中。そのヴァンパイアと人間の混血児であるブレイドが、ヴァンパイアハンターとして活躍するアクション映画です。主人公ブレイドを演じるウェズリー・スナイプスが何ともハマリ役で、ダークな世界に生きる寡黙なハンターの雰囲気を醸し出している点が好評だったのか、後に2作が製作され、3部作となってます。
今見てみると、「?」と思える突っ込み所はあるのですが、その辺は置いといて、単純にアクションの爽快さを楽しむべき映画なのでしょう。吸血鬼といえば、おどろおどろしいホラー的な感じを受けますが、この映画ではヴァンパイアが日光や銀に決定的に弱く、ブレイドが駆使する武器、銀の弾丸を打ち込まれたりや銀のナイフで刺されたりすると灰になってしまいます。この「灰になる」という点が、ホラー的気味悪さの要素を下げてくれていると思います。バッタバッタとヴァンパイアを葬り去るブレイドのアクションを単純に楽しむ映画なのでしょうね。
文芸大作や感動作もイイですが、疲れた時に頭を使わずに楽しめる、こんな映画も手元に置いておいてもイイかな、と思いました。

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Seven Days War [本・映画・アニメ・詩歌]

2015年も僅かとなりました。今年最後にご紹介するのは、1988年リリース、TM NETWORKの「SEVEN DAYS WAR」です。

seven_day2_war.jpg

この曲は、1988年の角川映画「ぼくらの七日間戦争」の主題歌として作られました。宮沢りえ主演第1作としても注目されましたから、ご記憶の方もいらっしゃると思います。映画の内容は、管理教育に抑圧された中学生が、学校・教師、それを取り巻く大人たちに反旗を翻(ひるがえ)す話です。校則に無理やり押し込もうとする教師との対比で痛快さを狙ったのですが、戦車なんか出てきてエンターテイメント的で、映画としての評価はそれほどではありません。この映画のために作られたこの曲、タイトルもそのままなら、「映画の主題をあまりにストレートに表現しすぎる」との声もありました。しかし映画から離れて、この曲だけを聞いてみると、また別の感じ方もできると思います。

Revolution
ノートに書き留めた言葉
明日を遮る壁 乗り越えてゆくこと
割れたガラスの破片 机の上のナイフの傷
訳を話せないまま 閉ざされたドア叩いていた
全てを壊すのではなく 何かを探したいだけ
全てに背くのではなく 自分で選びたいだけ
Seven days war たたかうよ
僕たちの場所 この手で掴むまで
Seven days war Get place to live
ただ素直に生きるために


「割れたガラスの破片」「机の上のナイフの傷」、これは抑圧され、鬱積された感情の象徴でしょう。それらを乗り越えて行くべき壁として、既に認識しています。ただ、壊したり眼を逸らしたりするのではなく、「乗り越える」と。「War=戦争」という言葉を使っていますが、「たたかう」とは、「戦う」ではなく、ここでは「闘う」が正しいでしょう。相手である人間を殺傷すること、体制を破壊することを目的とした戦争ではなく、「探したい」「選びたい」なのですから。

Communication
届かない声 つぶれたシューズ ちぎれたシャツ
ルールと正しさの意味 分からないまま従えない
誰かと争うのではなく 自分を見つけたいだけ
誰かを憎むのではなく 想いを伝えたいだけ
Seven days war たたかうよ
僕たちの場所 誰にも譲れない
Seven days war Get place to live
うつむかず生きるために


納得できない規則を押し付けられ、それに従うのが正しいことだと言う者達。彼らと彼らの作った体制と闘うと言いながらも、コミュニケーションを拒まず、しかし届かない声は、「つぶれたシューズ」や「ちぎれたシャツ」を生みます。でも人を傷つけるような争いや憎しみが本懐ではない。ここで言う「War=戦争」とは、屈しない心、自己表現したい自由を望むこと、それらを勝ち取ることだと分かります。その目的は「素直に生きること」だからです。

Seven days war たたかうよ
僕たちの場所 この手で So do it now
Seven days war Get place to live
ただ素直に生きるために


素直に生きること、うつむかず生きること、それが闘う目的です。そしてそれができる「Place」をこの手で掴むこと、そうした場所を勝ち取るために諦めないこと、それをこの詩は示しています。そう考えて行けば、「Seven days war」というタイトルが、多分に映画の為であり、本当のタイトルは、「Get place to live」なのではないか、と思えます。

「Place=場所」、誰にも現在を生きている場所があります。それは期待を胸に門をくぐった学校の教室でしょうか? 貴方が今日も通う会社の机でしょうか? マイホームの食卓に座る椅子でしょうか? レギュラー争いの末に勝ち取ったポジションでしょうか? 分け隔てなく話せる友と会う場所でしょうか? それとも名刺の肩書きでしょうか? 地位でしょうか? その場所は、望んで得た場所でしょうか? 努力の結果やっと手にした場所でしょうか? 誰かに無理やり押し付けられた場所でしょうか? 知らず知らず流された果ての場所でしょうか? そして、そこで貴方は、素直に生きているでしょうか? うつむかず生きているでしょうか?
人は一人では生きていけない。多くの人との交わりの中で生きています。学校、会社、家族、そしてそれらを全て含んだ社会という大多数の個の集まりに中の一つが貴方。その立ち位置は常に変化しているものかもしれない。自分が自分らしく伸び伸びと生きられる場所、それは何処に住んでいようが、幾つになっても、簡単に手に入れられるものではないでしょう。だから闘うのです。誰かと争うのでもなく、誰かを憎むのでもなく、でも自分が素直に生きるために、闘ってでも手に入れるべき価値有る場所、それが誰にでも有るはずなのですから。

まもなく2015年が終わります。ただ時の流れは無限です。暦の区切りが来るだけであって、2015年は2014年の続きであり、2016年へ続いていくものです。人が暦を作り、一年という時間の尺度を設けたのは、記録するためであり、記録するとは振り返って考えるためのものです。今年、貴方が居た場所はどんなところだったのか、そこで何を見て、何をして、何を失い、何を得て、何を感じたのか、新年を迎える前に暫し確認しておくことをお勧めして、このブログの今年最後の記事とさせていただきます。
ありがとうございました。



seven days war


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銀河英雄伝説 [本・映画・アニメ・詩歌]

私の書庫の片隅を占めているのが、田中芳樹氏の小説「銀河英雄伝説」。1982年に第一巻が発売されたのですから、最近のものではないですし、私が手にしたのも確か2000年頃だったと思います。でも、累計1500万部を突破したロングセラーで、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。今回はこれをちょっと紹介させていただきます。

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タイトルから想像できるように、SF小説の範疇に有ると思われる本作品ですが、未来兵器やエイリアンが出てくる戦記ものかと言えば、読み始めると「後生の歴史家」という言葉がよく出てくるように、さながら架空の歴史小説のような体裁を取っています。なので、メカ的な興味やアクションシーンで読者を魅了するような小説ではなく、あくまで登場人物が織りなす人間像やドラマが主です。第1巻が発売された時は、第2巻以降の発売が未定であり、幸いにも好評を得たようで、その後全10巻が無事に発売された、とのこと。なので読んでみると、第1巻はそれ以後に比べて、よく言えば凝縮された、悪く言えばちょっと早走りしたような物語展開の感を受けます。
この小説の第一の特徴は、登場人物の多いこと。主役たる、ヤン・ウェンリーとラインハルトの言動で物語は進むのですが、それを取り巻く登場人物が多い。しかも、全編を通じて登場するような人物に関しては、第2巻以降は人物描写も細に至っていますから、これをまず把握することが、この作品を楽しむ秘訣だと思います。しかも、それぞれがなかなか味のある登場人物が多いです。
第二には、SF小説らしくない、現代にも通じる政治色が濃い物語であること。戦記もののドンパチはあまり目立たず、戦争という行為の背景にある政治思想や権謀術数を描き、そこに絡む人物像を織り込むことで物語が進む、といった感じです。専制政治を敷く銀河帝国と民主共和制を唱える自由惑星同盟、そして商業を中心としたフェザーン自治領の3つの勢力が舞台なのですが、スターウォーズのような単純な善対悪の関係で描かれるのではなく、最良の改革者を得た独裁政権と腐敗した民主主義の対決に宗教的なテロまでも加わり、それを宇宙という舞台に散りばめた設定で話が進みます。主役にしても、完全なるヒーローとして描かれている訳ではなく、人間臭く苦悩するし、その思考描写や会話から、現代にも通じる政治の矛盾や軍隊の有り方を思惟させられます。一方の主役であるヤン・ウェンリーの言葉を借りれば、「最良の専制政治は最悪の民主主義に勝るのか?」というテーマが、ここには横たわります。
こう書いてみると、極めて取っつきにくい小難しい小説・作品のように思えるでしょう。そんな方のためにお勧めなのがアニメです。実は私も、この作品に触れたのはアニメからでして、レンタルビデオ店で見つけた劇場版「銀河英雄伝説 わが征くは星の大海」が最初です。これを見て、面白そうだな、と思ってOVAシリーズを見始めたところ、夢中になってしまい、その後に小説を全巻購入して完読した、という次第です。OVAシリーズは、ほぼ原作に忠実に作られていますし(そのため、全110話という長さ)、人物描写に関しても同様。しかも、ほとんど登場人物一人に声優一人という配役の豪華さで、「銀河声優伝説」と揶揄されるほど(今では考えられませんね)。現代アニメのような、画的な凝った仕掛けや緻密な描写力は期待できませんが、その代わり長い会話と個性的な人物の配置で見せるアニメです。先にも書いたように、軍隊と政治色の強い作品なので登場人物は男性が殆どなのですが、その中で女性であるフレデリカ(後のヤン夫人)とヒルダ(後のラインハルト夫人)が、どちらも実に聡明な女性として輝いて見えます。
もちろん、子供向けではなく、完全に大人の視聴者に向けて作られています。膨大な登場人物も、視覚で受け入れれば易いですし、このOVAの出来具合なら、ココから入るのは邪道とは思いません。もう故人になられたヤン・ウェンリー役の富山敬さんや、メルカッツ役の納谷悟朗さんも、実に重厚な演技(声技)をされてます。レンタルビデオ店では旧作扱いの筈ですから、秋の夜長に楽しむのもイイかと。何といっても長い話ですから、一話や二話見たくらいでは、このスペースオペラと言われる物語の壮大さは分からないでしょうから、時間のある時にじっくりと見ても良いと思います。思わず涙するような作品ではありませんが、架空の歴史小説に身を投じ、「常勝の天才vs不敗の魔術師」の物語に現在を重ねて考えてみるのも一考かと。

銀河英雄伝説2.jpg


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